だも

あんのだものレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.3
「私たちは、何かになれなくても 生きる意味があるのよ。」



突然どら焼き屋にアルバイトをしたいとやって来たおばあちゃん。そのおばあちゃんとの出会いが色々な事を変えていく。

一つ前にレビューした「しゃぼん玉」と雰囲気が似ている作品。市原悦子さんも出演している。それもこれも、非常に邦画らしい。最近この邦画らしさが好きで、密かにブームが来ています。

舞台は山村ではなく、そこら辺の少し落ち着いた街。調べたところ、東京の東村山市。
近い、行ってみたい。
都会過ぎず、田舎過ぎず。誰もが身近に感じるような風景を切り取っている。
しゃぼん玉と同じく。音楽もほとんどない。
そしていつものように画面が若干グレー。

私が大好きなのは、まさにこういうのです。
他にもあったら教えてください…。

この作品で一番大事なテーマはハンセン病(らい病)と「自由」だと思った。
聞く機会の減った病気だが、偏見は未だに根強い。感染力が非常に低い病である事を知らない人も多いだろう。
ハンセン病が原因で自由をなくし、それから何十年も偏見に苦しめられているのには心が痛んだ。でもこれが現状。こうした現状を映画で描くのはとても意義がありますね。

おじちゃんとか、鳥とか、様々なところに自由の描写がある。
こうして自分が自由を享受していられるのが有難いなあと思う。

樹木希林さん、本当に素敵な女優さんでした。もう新しい作品が見られないのが悲しくてたまらなけれど、いつでも映画で会えると思うと嬉しくもあります。

ハンセン病を患う方々への偏見が少しでもなくなり、自由に生きられる社会になりますように。私もその社会の一員になります。
だも

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