できたての美味しいどら焼きを頬張りながら観たくなる作品。
どら焼き屋の訳あり店長の千太郎のもとに、一人の老女・徳江がアルバイトとして志願することから物語が始まる。
徳江の作る餡の美味しさが評判を呼びたちまち店は繁盛するが、とあることが理由で客足が途絶えてしまう―
ほんわかとした雰囲気の中で、人間の愚かさ、命の尊さや儚さ、そして生きることの意味などを考えさせられる映画だった。
小さなどら焼き屋で働けることを少女のように喜ぶ徳江の姿から、彼女の半生がどれだけ過酷なものであったかは想像に難くなかった。
雇われ店長として働き生きる意味を見出せない千太郎、同世代の女の子たちの中であまり馴染めない中学生のワカナ、生きることを世間から否定され続けた中で美しく強くしなやかに生きた徳江。
世間から離された３人がつながり、切なくて暖かくて愛おしい作品だった。
