タナカリオ

あんのタナカリオのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
4.4
映画好きなら、『生きる意味』を教えてくれる映画に出会う。この作品は間違いなくその1つになった。

まず、この映画は『音』がいい。ボールで卵を混ぜる音、エプロンを腰で締める音、桜が風で擦れる音、日常で聞き逃している音が、宝物のように綺麗に響く。自然の描写、撮り方も秀逸。小豆を沸かすカットは、音とともに匂いまで香るよう。

きっとこの監督さんは、自然の美しさを切り取ることに長けているんでしょう。巧みな美しい描写は、この映画の肝なので、この監督さんでなければいけなかったのだと思う。

よく『生きる意味は誰かのために役立つこと』なんて言うが、
樹木希林演じる徳江は、ハンセン病で人の役に立ちたくても、なかなか人の役に立てなかった。

そんな徳江が出した『生きる意味』は、映画で丁寧に描かれた自然の描写や音と繋がり、私にも生きる意味を与えてくれた。
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