Gren

バケモノの子のGrenのネタバレレビュー・内容・結末

バケモノの子(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

人間は誰しも闇を抱える。だから心に剣を持つ。心の芯のことを「剣」と表現している所が好き。自分の心の剣とは?自分も持っているはず。あやふやで、ハッキリとはまだ見えない。でも、ある。闇もある。闇に堕ちれば力を手に入れられる。でもそれは本当の強さではなく暴走に近い。自らを滅ぼす力。その安易な力に飲まれてしまいそうになることも。私の大切にしていきたい心の中の剣を見たい。ハッキリさせたい。そう考えさせられる映画だった。
一郎彦のその後が気になった。あれだけ派手に街を爆発させておきながら全員軽傷だったのは不幸中の幸い。大勢の方が亡くなっただろうと思っていたので、これで改心して綺麗さっぱり忘れて生きていくのはないなと思っていた。でもあれだけのことをした一郎彦はどうなるのかと一瞬思ったが、あの立派な父がいれば大丈夫だと思った。自分のしたこととちゃんと向き合い、人間と化け物の世界のために更生していくことを期待している。
映画全体の構成で見ると、キュータの授業の成果を見せるシーンがもっと欲しかった。キュータが刀を振るうシーンがほぼ無い。ん?あえて?か?心の剣での戦いということを強調したということだろうか。いや、でも成長を見てスッキリしたかった。
子どもを育てる立場からすると、キュータの成長していく所をもっと見たかった。映画の都合上仕方がないが、クマテツを見て真似てモノにしていくなんて、並大抵のことじゃない。しかも家事の片手間で。そこの葛藤、苦労、どう乗り越えたのかを見たかった。でもここは、どの映画でもはしょられがち。
また、クマテツにあまり共感できなかった。刀も心も絶対的な強さがない。ただ暴れ回っているだけ。感情剥き出し。まさにバケモノ。あれが長になっていたら大変なことになっていたのでは?側近の苦労が思いやられる。クマテツがこんなんだからキュータに感情移入した。キュータ頑張れ。
そしてチコは最後まで寄り添っていたが、母親の生まれかわりということなのかな?あとバケモノの街がきれい。
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