人を信じきれるかどうかと、信じて騙されることのダブルスタンダードを課してくる。
そして、それは物語の登場人物だけでなく観客に対しても同様。上手くミスリードされていき、登場人物達と同じ様に、信じたいけど信じきれない、観客と物語が一体となって話が進んでいく。
ある物は信じたことによって罪を犯し、ある者は信じきれなかたっが故に大切な人を亡くし、ある者は信じきれなかったけれども最後に許しを乞う。
何が正解とかそういう問題ではなく、結局のところ選択の主体は自分にあり、信じた方が悪いとか、信じきれなかったから悪いとか、騙す方が悪いとか、騙させる方が悪いとか、そういう単純なことではない。
選択の結果に対していかに向き合うか、それしかない。
そして、その選択の結果が自分にとって最悪であったとしても、それが誰かの救いになることもある。
結局のところ、世界は良い悪いの二項対立だけでは語れない。
表面的な事柄の裏側にある物語に対して目を向けないといけないんだろう。
2021-19