うゆにえん子

怒りのうゆにえん子のレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.6
映画館でみて良かった映画。
ある殺人事件をきっかけに東京、千葉、沖縄を舞台に展開される群像劇で、それぞれのエピソードにはエピソードのバランスも良く、揺るぎがない。そして、情景がとても美しく心に堪えてくる。
とはいえ、単純に感動と一言で片付けられるものではなかった…。何せタイトルが『怒り』ですから。

愛する人を信じることはそんな容易いことではなく、一度でも疑念を抱くと愛していた分だけ葛藤や苦悩が強くなったりすること。また、現代を巣食う社会病理や、人の心の弱さが描かれていてすごく痛いほど胸を締められた。
禍々しいまでの怒りの感情の矛先は人によって違っていて、内向的なものだと分かち合うことは難しいから余計に辛い。それが外に向いた時誰かを傷つけてしまうことも言わずもがなですね…。

とても気軽に人に勧めらられる内容ではないけど、こんな救いようのない世界でも一筋の光が見出せるかもしれない…と感じました。私にとってはとても面白かったです。

レイトで観るといいかな。