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怒りのskgcのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.0
日本の演技力と映画力の集大成な気がした。
日本らしい陰気さが漂ってて、なのに裏でとぐろを巻く感情が傍でわかるくらいに露骨な時がある。
悲しさも嬉しさも希望も後悔も、どれほどの感情も、裏返ったらすぐさま「怒り」に変わるし、変わりうるんだと思った。
タイトルの「怒り」の簡潔さに、こんなタイトルでええんか?と思ってたけど、全編鑑賞後には「これしかないな」と思った。

この人なわけない、と思いながら
この人かもしれない、と疑心暗鬼になるのは登場人物だけじゃなく、観ているこちら側もだった。

泣きもしなければ感動なんて露もしなくて、
なのにこんなに印象的な映画が、日本で生み出されたんだと思うと少し嬉しい。
洋画派だけど、邦画も捨てたもんじゃないなと思える。

「怒り」というタイトルを自分なりに解釈できる。簡潔明快なストーリーももちろん好きなんだけども、今作のように最終的には感情の振り幅を観客に任せる形も好き。
清々しい気持ちとは行かないけど、物事の行き道や裏書きの重要さを知ったし、表立ったところだけを信じすぎるのも、疑ってかかってバックグラウンドを好き勝手に描写しすぎるのもダメなんだなと思った。けど、気付いてからじゃ遅すぎることもあるんだよな、ってことも。
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