mika

怒りのmikaのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.6
ただただ苦しかった、見終わったあと しばらく放心状態で、なかなか抜け出すことができなかった。

広瀬すずちゃん演じる役に胸が締め付けられる。
「誰にも言わないで」彼女のこの気持ちが痛いほどわかって、悔しくて悔しくて仕方なかった。

恐怖と陵辱を受けても誰にも言えず相談出来ず、泣き寝入りしながら死ぬまで悲しみを持っていく。
そして、打ち明けられた もしくは事実を知ってしまった家族や友人 恋人の、悲しみや憎悪、掻きむしられるような辛さ。
第三者の通報があったり、勇気ある被害届が出されたり、十分な証拠があって正式に起訴された事案だけが全てじゃない。

心を一方的に破壊し、尊厳を踏みにじり、大切なからだを弄び、平気で傷つけ、一生を狂わせられるような冷酷残忍な体験を強いられた人の心の叫びは、声にならないことが多い。
存在価値や生きる喜びまで奪われ、そのおぞましい体験を簡単に打ち明けることなんて不可能で、、
打ち明けられた側も簡単に受けとめることなんて不可能で、、
「言えばあの人が悲しむ」
「裁判になったらどうなる?」
「報復にあったら?」
そんなことになれば、とうとう自分は生きてはいけない と思う。

もし、自分の娘が 妻が 妹が 最愛の人が、そんな目に遭ったらどう声をかけるか どう動くか。
この作品の中心核からは逸れるが、これが大きなテーマに感じた。

そしてもう一つ。
騙されているかもしれない 裏切られるかもしれない、そう思ったとしても、やっぱり人を信じたい!信じてあげたい!信じてほしい!信じさせてあげたい!
改めてそう強く思う作品でした。
mika

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