「虚構(ゴジラ)がやってきた」。
『シン・ゴジラ』は、庵野監督の最高傑作と相成りました。
久しぶりに満点をあげたいと思える映画です。
冒頭からものの5分ほどで、アクセル全開に今日の行政機構を皮肉るシニカルなメッセージがひしひしと伝わり、「あ、これ傑作だな。」と確信しました。
そしてやはり、期待を上回る出来栄え!!!!!
現実(ニッポン)vs虚構(ゴジラ)。
なるほど!!
映画をみると、このキャッチフレーズの意味がよく分かる!!
ゴジラに翻弄され、かき乱されるニッポンの滑稽さを通じて、
戦中から3.11までの経験を凝縮し、過去の、そして何より現在の日本政府を風刺しています。
そうしたメッセージ性をしっかり持たせていることが素晴らしい。
直接的ではなく、画を通して婉曲的に物語ることで、主義主張をぶっぱなしてこそ映画でしょう!!
最近はそういう気概のある映画は少ないと感じるので、そのシニカルなメッセージ性を持つこの映画に大変満足しました!!
そして、『シン・ゴジラ』というタイトル。
それは、
新たに復活した「新・ゴジラ」であり
米版GODZILLAとは違う本家本元まことの「真・ゴジラ」であり
完全生物として畏怖の念を抱かせ、私たちの世界に喝を入れる「神・ゴジラ」と
トリプルミーニングされているように感じます。
その巧さに、またグッとくるんですねえ。
そして、この映画はやってしまいました。
私たちは、映画を観るとき、常に「現実vs虚構」という関係に立っている。
しかし、多くの場合、それはこちらの世界(現実)まで踏み込んではこない。
画面の虚構の中で完結するのです。
けれどもこの映画は、画面をぶち抜いてくる。
ニッポンという現実を嘲笑うかのように蹂躙してくる。
現実はそんなもんでいいのか?と。
虚構(ゴジラ)を成り立たせるために、全てが現実(ニッポン)を忠実に描いていく。
だからこそ、私たちは恐怖し息を呑む、、、。
自戒の念に苛まれる、、、。
そして、現実の私たちはこう思わされるのです。
「虚構(ゴジラ)がやってきた。」と。