グラノーラ夜盗虫

シン・ゴジラのグラノーラ夜盗虫のレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.0
面白かった。

この映画は日本の文化的コンテキストをわかっていないとまったく楽しめないものだと思う。そういう意味で、日本人による日本人のための映画、という感じ。ちょくちょく日本のあるあるのだめなところをディスりつつも、最後には日本人「総動員」で「一致団結」すれば何度だって再起できるのだ、というそんな一種愛国的なディスコースを感じた。自衛隊が全面的に協力したのもわかる。経済が停滞し、大災害がつづき、安全保障の問題が立ち上がり、米国に依存を続ける現代日本の「気分」にあっている映画。

この映画は日本人向けだ、と考えれば、石原さとみの日系アメリカ人らしからぬ演技もしかたないのだろう。水原希子や黒木メイサのような真正の欧米ハーフ系の長身美女が高飛車にまくしたてるよりも、忽那汐里や河北麻友子のような真正の帰国子女が完璧な英語をつかうよりも、無理してヒールをはき、化粧で童顔を大人っぽくしている、「かわいい」石原さとみが怒鳴るほうが、そこにいる男の人を威圧しない。きゃんきゃん吠える、かわいい子犬、という感じである。アメリカでは女性が、ましてや100%のアジア系が大統領になることがとてつもなく難しい(オバマ大統領だってコーカソイド系のハーフである)というそんな「アメリカの」文化的コンテキストは完全に無視されていても、しかたないのだろう。
石原さとみと市川実日子はエヴァのアスカとレイという感じで、きっちり萌え要素もありました。

怪獣映画というより、「日本のいちばん長い日」のような政治映画でした。