まっつん

シン・ゴジラのまっつんのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
3.8
現在大ヒット中の本作。ゴジラが世界の怪獣王となってから満を持して東宝によるゴジラがカムバック!といった面持ちでしょうか。

まず良かったところから!やはり特撮は文句なしだと思いました!特に第二形態が大好きです!その造形のおぞましさと気味の悪さ、そして2回目観るとちょっと可愛いといういろんな味を楽しめる美味しいキャラでした笑。さらに特撮や音楽の「古くて新しい感じ」もすごいいい感じでしたね。

あと演技ですよね。去年の東宝の夏休み映画、「進撃の巨人」に比べると格段に役者がいい演技をしているなと思いました。この要因としては非常に特徴的な早口での長台詞と素早いカット割りによって良い意味で役者に演技させる暇を与えないという演出の勝利だと思いました。

さらには映画の作りとして登場人物の「公私」の「私」の部分を全く描かないという思い切った作りになっています。これは結構日本映画としては革新的だなと思ってて、普通の日本映画だったら途中で家に帰って家族がいてみたいなシーンが絶対あると思うんですけど、そこをバッサリ切り捨てるというものすごくクールな作りになっているなと思いました。

しかし、かなり乗り切れない部分があるのも確かなんですよね...本作にハッキリと内向きな姿勢があることは否めないと思うんですね。ゴジラは今や世界の怪獣王になった訳です。にも関わらず庵野秀明のセルフパロディによって作られてるってところに内向きな姿勢を感じてしまうし、日本の特撮を取り戻す戦いとしては些か虚しく感じてしまうのも事実でした。だから変人たちが集まったゴジラ対策本部というのは叡智を結集して日本特撮を取り戻す庵野秀明をはじめとした製作陣の姿そのものだと思うんですが、やはりそこにも日本のオタク的な内向きさを感じてしまうんですよね。

さらにここは賛否が分かれているとこですが「人が死ぬところが出てきてない」ってところですよね。明らかにこの人死んじゃったなって思わせる描写はあるのですが直接的には描かれていないわけです。本作は明らかに東日本大震災を意識させるような描写や表現が出てくるのですが、確かにそこで人の死をハッキリと描きすぎてしまうのはどうなのだろうか?という意見も十分に理解できます。しかし誤解を恐れずに言えば映画くらい人が死ぬところが観たいのです。それにお話上も最低限人の死をハッキリと描く必要があったのではないかとも思います。

とにかくこの夏必見の映画であることには間違いないですし、観た後に色々と語りたくなること間違いなしだと思います。