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クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃のKANIOのレビュー・感想・評価

5.0
同監督同脚本家の『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』が本当にダメダメで、全然期待してなかった本作だったが、まさかの超大傑作。

大人になってから映画でしか見なくなったしんちゃんなのに、そこには俺が子供の頃から変わっていない世界が広がっていて、納谷六朗さんが声をあてる園長先生としんのすけの最期の会話が切ない。
開始15分で観る者を全力で泣かせにかかってくる。

そんな感動的な序盤の引っ越しパートに涙しながらも、蓋をあけると『トレマーズ』や『ワールドウォーZ』『ミスト』など新旧入り交じった様々なモンスターパニック映画を彷彿とさせるような展開と演出が続き、最後には『アベンジャーズ』や『ガーディアンオブギャラクシー』などを経て物語は締め括られる。


前作の『逆襲のロボとーちゃん』は、ある意味では子供には難解な根幹にあるテーマが逆に斬新で、それを含めて傑作だったのだが、今回の『引っ越し~』は原恵一監督時代のしんちゃん映画のように視聴者の情緒に訴えかけてくる優しさがある。

ひと昔前、TV放送で『ザ・グリード』や『トレマーズ』といったモンスターパニック映画が当たり前のように放送されていた時代、そういった作品の持つ独特の魅力に感化され、そういった作品を入口として映画が好きになった少年少女は数多い。
しかし昨今、モンスターパニック映画といえば「午後のロードショー」でたまに放送される程度で、子供達がそういった作品に触れられる機会が一気に減ってしまった。
おそらく橋本監督もその状況を憂いている人間の1人で、この作品ではそういった作品たちのオマージュ愛に溢れている。
大人が見るとある種の懐かしさすら感じさせる、本当の意味で大人も子供も楽しめる映画。


お馴染みとなりつつある声優吹き替えの日本エレキテル連合は、本当に可哀相なぐらいチョイ役で、メインキャラは殆どガチガチの声優陣で固められている。
どれぐらいガチかというと、物語に登場する池上彰先生の声優が池上彰じゃないくらいガチ。
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