Takasugi,Kei

ディオールと私のTakasugi,Keiのレビュー・感想・評価

ディオールと私(2014年製作の映画)
3.8
ラフ・シモンズがディオールのディレクターに就任し初のオートクチュールコレクションを発表するまでの怒涛の日々を追うドキュメンタリー。
毎日のように起こるトラブル、いかにもシャイそうで神経質な表情を崩さないラフとディオールのアトリエメンバーとのなかなか縮まらない距離、とにかく足りなくなっていく時間の緊張感…と胃の竦むような日々が続く中で輝くのがラフの片腕、ピーター・ムリエである。彼がアトリエとラフの間を常に気遣いと明るさを持って取り持つことでプロジェクトが次第に回っていく。彼の敏腕さ、特に緊張状況にあるコレクション直前でも笑顔を絶やさず仕事を回していく様子はプロの中間管理職で、世界最高のクチュリエたちも心を許すのも納得。自分がディオール社の人間なら、ラフよりもピーターをまずマネジャーとしてスカウトするだろうなと思った。途中まで全く進捗しないアイデアが最後に決定され立ち上がり、モデルたちが着て見事にカッコいいドレスになる様子、花で壁まで埋め尽くされた会場、そしてランウェイ…という本番の高揚感が伝わってくる画面の中で、一人かつてなくナーバスな様子のラフが小さく見えるが、まず彼のビジョンありきのプロジェクトである…。
一人一人さまざまなアトリエスタッフたちの姿、何気なく見てしまうけれど、これが世界最高峰の生え抜きクチュリエたちなのか…と思うと背筋が伸びる思いもする。彼らのチームワークを見られるのも貴重な経験。
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