あでゆ

無垢の祈りのあでゆのレビュー・感想・評価

無垢の祈り(2015年製作の映画)
4.6
学校で陰湿ないじめを受ける10歳の少女フミ。家に帰っても、日常化した義父の虐待が日を追うごとに酷くなり安息の時間もない。母親は、夫の暴力から精神の逃げ場をつくるべく、新興宗教にいっそうのめり込んでいく。誰も助けてくれない。フミは永遠に続く絶望の中で生きている。そんなある日、自分の住む町の界隈で起こる連続殺人事件を知ったフミは、殺害現場を巡る小さな旅を始める。そしてフミは「ある人」に向けて、メッセージを残した。

再上映で現状最後のチャンスだったので鑑賞。映倫にかけていないので円盤化も無し。

開幕はオープニングのおどろおどろしい音楽、緑がかった川崎の工業地帯の映像。この時点でもうやべえ空間に来てしまったんだなということを後悔した。
そして本編が始まると同時にペドフィリアシーン。ピカチュウグッズあげるからヤらせろって言って黄色いハンカチあげてるのは正直笑ってしまった。

父親はDVペド、母親は宗教キチガイ、学校ではイジメられて先生には無視という四重苦。
『無垢の祈り』というタイトルは、フミが業苦からの解放を願うものだと思っていたが、実は全くそうでは無かったということがわかるオチはゾッとさせられる。
父親の説教で「大人は二個目の答えに気づいてしまう」と説くが、警察のいうとおり彼女は大人になってしまったからこそ、二個目の解答をプロの大人に委ねようとする。
ただこれ、何が恐ろしいって未来は決まっていて何も解決していないんだよな...
それを示す時系列を利用したトリックが秀逸だった。

もちろんフミ役の子は9歳なので、ペドシーンには彼女そっくりのマリオネットのような人形が用いられるが、その映像が逆にフレッシュで、本人がやるよりも禍々しさを感じるように作られていたと思う。

観客に想像させる場面が何度か意図的に挿入させられていたのも好意的。
BBゴローの怪演は素晴らしく、福田美姫がとても美しいし演技も一流だった。
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