そうねだいたいね

100%の女の子のそうねだいたいねのレビュー・感想・評価

100%の女の子(1983年製作の映画)
3.6
8ミリ版『500日のサマー』とでも言おうか。すれ違った女性との恋愛を妄想で勝手に進めていく話??冒頭の今作で言う「100%の女の子」とすれ違うシーンは、あらゆる角度から速度を早めたり遅めたり、ただ歩いてるシーンは同じカットで違う動きをさせ、それをコマ撮りで見せるのには思わず引き込まれた。今では使い古された見せ方かもしれないが、今の若者である自分が観ても圧倒的なセンスを感じた。とにかく室井滋さんの魅力が爆発してて、こうもヒロインを魅力的に撮れるものなのかと感動した。妄想デートプランにウディ・アレンの映画を観に行くとあったが、今作自体が確実にウディ・アレン映画から影響を受けていると見た(特に『アニー・ホール』)。青が75%で黄が85%、赤が100%と人物に色を付けて視覚的に見せる辺りも芝居というより内容寄りなんだが、結局人生の経験値の問題で、運命の人と出会っても、もしかすると運命じゃないかもと若者なりに「100%(ドラマチック)」を求めてもがくって話で、内容だけで既に面白いから今作で実行している演出が一つ残らず味として効いていた印象。そういう意味でその作品に必要な演出を出し切っていたセンスの塊映画。そりゃあPFFに入選するよな。てか村上春樹原作とは知らずに見ていた。今作を鑑賞し、昨今の少女漫画原作映画などの長々とした芝居は返って邪魔なような気がした。