「独楽は回る。一人で回る。行く当てもなく、人生を独り、ひた廻る。」
「独りで楽しむ」と書いて〝独楽〟。
なんとも、この映画を表すにふさわしい言葉でしょうね。
人は、究極的には、「独り」である。
それを三人の独楽の軌道でもって、鋭く突きつけてくる。
生々しくて、苦しくて、否定できないメッセージを送りつけてくる。
意識的にしろ、無意識的にしろ、普段気づかないようにしている「孤独」を見せつけてきます。
僕たち人間は、生まれ落ちる時に回り始めるんです。
時に勢い緩み、時に勢いよく。
色んな独楽とぶつかったり、寄り添ったりして廻って行く。
親に育てられ、学校で集団として育てられ、社会で集団として生きて繋がっているように見える。
けれどそれは、見えるだけ。
僕らはいつもつまるところ、独りで回って廻ってるんです。
家族との別れ、友との別れ、愛する者との別れ、、、人生の不条理は独楽を容赦なく蹴散らしていくイベントに満ちている。
そうした出来事にぶつかると、否応なく、人は独りであることを痛感せずにはいられない。
しかし、それこそ「人間」だと思います。
生きとし生けるものはすべて、究極的には「孤独」なのです。
だからこそ、繋がることを求める。
だからこそ、そこに幸せや喜びを感じられる。
孤独に回って、廻わる独楽だからこそ、人々は繋がりに悩み苦しみもすれば、喜び幸せを感じもするのです。
きっと、独りも楽しみ、みんなも楽しんでこそ、僕らは人間たりえるのではないでしょうか。
人生を進むと持ってるものが増えて、しがらみに絡められがちになります。
三人の独楽もそうでした。
けれど、もっとシンプルにする必要があります。
僕らは、独楽。
回って廻る独楽なのです。
その人生は、ゆえにシンプル。
忘れちゃいけない大切なこと。
何のために回るのか?
どこに向かって廻るのか?
これさえ見失わなければ、僕らはきっと独りも楽しみ、みんなでも楽しめる。
心と直感を大切に、自分の軌道を見失わないことが大切であると改めて感じ入った映画でした。