Lewis

恋人たちのLewisのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
3.9
見て見ぬ振りしたいところ、隠したいところを延々と見せられる映画。

リリーフランキーとか数人の脇役以外、顔も名前も知らない俳優ばかり。だからこそ作り物っぽく無い、リアリティを映し出すことにずば抜けて成功してる。群集劇で、どの登場人物も大きな変化は見られない。映像は万年床のような湿気を帯びてるし、陰影が多い。

底つきしそうで、ギリギリ今の自分を許容し反社会的にならない生活を保てそうな兆しが見えるところで終わってくれた。
右手の無い上司の優しさがしみた。話したいじゃん、ってあんなトーンで言えるって人間としてすごい。

嫌なあるあるたっぷり。なんか辛い、なんか痛い、なんか苦しい、なんか憂鬱。でも、生きていく。そんな登場人物たちを立派と思える。
邦題の出し方もずるい。嫌なところたっぷり見せつけて、でも愛おしいなと思えるタイミングでの、“恋人たち”。この人たちと、映画をみている人たちを、否定せず許容する器の大きさを示したかのような。

フォトジェニックだのインスタ映えだの。キラキラしたものが世の中に溢れている時代でのこの作品の価値は高い。汚いものを美しいとさえ思えること、そんな人生を送ることへの賛美。

でももう一回は多分みない。苦笑
Lewis

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