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永遠に君を愛すのSEULLECINEMAのレビュー・感想・評価

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)
4.0
脚本と濱口竜介の作家性がうまく噛み合っていないように感じた。現実では覆い隠された人間の関係の真実を会話劇とショットであからさまに露呈させる濱口竜介の作家性に対して、この脚本はあまりにも通俗的な描写が多く、ファム・ファタール的な美術学生の必然性もわからなかった。色々と散らかったまま終わっていったというのが正直な感想。
ただやはり、濱口竜介は乗り物を用いたシークェンスが抜群に上手いとも感じた。乗り物自体の運動ではなく、運動に身を置きながらも停止している不安定な状態を捉える濱口竜介の執念が、『ハッピーアワー』の冒頭のあの奇跡的なショットにひとつの結実をみたと捉えることができるし、『ドライブ・マイ・カー』が乗り物と人間関係という濱口竜介を象徴する二つの要素がうまく噛み合ったことによって誕生した傑作だったと考えれば、この頃から既にその萌芽が見られたとも捉えられる。
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