michan

はじまりへの旅のmichanのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

様々な感情でいっぱいになり
すごくもやもやした。

素晴らしい家族愛であり、とても感動する映画であった。森で暮らしたことなどないし、共感する部分なんてないだろう、と思っていた。子供はいないし分からないことは多いだろう、と思っていた。
しかし、親の心子知らずとはよく言ったものである。子供のためにと行なっていたものが全て壊れていく。子供に否定されていく。
亡くなった奥さんとよく相談して決めたこと、しかしその亡くなった奥さんは双極性障害を持っていた。
「パパがママを殺したんだ」
「ママは森を出たがっていた」
精神障害について学んでいる身からすれば入院させずそのまま森で生活すればきっと死ぬようなことはなかったのではないかと思ってしまった。しかし、薬での治療はできない。重症になる原因も森で暮らすことにある。地域で、在宅で、その人の望む形を提供することが全てではない、と考えた。

さらに宗教観であったり教育方針であったり思想であったり、全てが全て正しいわけではない。すべての事物には一長一短がある。自分の考えが全て正しいと思い込んでいてはいけない。折れるべきところもある、折れてはいけないところもある、自分を見失わないように周りと協調する難しさを見た。

そして、最大のテーマである「普通」
実習中に精神障害を持つ方に「貴方は普通の人なのね」と言われたことがある。その時から生きる上での1番の疑問であった。普通とはなんなのか。
この映画を観ても普通が何かは分からなかった。学校に通い、そこらへんに売っているものを飲み食いし、ゲームをして、服を着て。お金がなければ生きていけない、そんな生活が普通なのだろうか。
普通とは万人が作り出した勝手な幻想や夢であり、すべての人に共通する当たり前のものなのだろう。
辞書で普通を引くと

‪いつ、どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。‬

と出てくる。それこそ万人が作り出したものである。
‪その普通というものを強要するのはどうなのだろうか。自分達と異なる人々を変人と括り馬鹿にし蔑むのは普通のことなのだろうか。‬
‪私たちを作るものは何なのか、
私の始まりは何なのか、
とても考えさせられる映画‬であった。
michan

michan