どんなに長く生きて、”これが正しい”と信じた人生でも、途中で新たな”はじまり“への旅が始まるかもしれない。
ベンは森の中で、6人の子供たちを学校に行かせず、自らのやり方で教育を行う。子供たちは皆聡明に育つが、弱点は「隔離」されているということ。それが、母の葬儀に出るために、一家は森を抜け、「社会」へと入り込んでいく。そこで、子供たちは”これが正しい“と思っていた暮らしが、社会の中では上手くコミュニケーションできず、これからの生き方を考えるのだった。
これは、母の最後のプレゼントだったのではないかと思う。母の葬儀のために、森でしか生きてこなかった子ども達に、社会の中に連れ出すことによって、父と子供達に、生き方を考えさせるためのものだったのではないか。
父ベンの育て方、教育の仕方は新鮮で面白かった。子どもたちに、ちゃんと自分の言葉で、自分の考えを述べさせるシーンを見ると、今だに自分の言葉で語ることが苦手な私は、羨ましさを感じた。
しかしやっぱりほぼ森の中で暮らす隔離の状態や、食料を盗みで調達することなど、懐疑的な点も多い。
それがこの旅で、丁度よいバランスで生きることを見つけ出せたのだと思う。
“旅”とは、いつだって、新しいはじまりが見つかるものなのだと思った。