メンターム

はじまりへの旅のメンタームのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.8
アンチ資本主義のベンは子供達を学校に通わせず、学力的・体力的に相当な英才教育を施していた。しかし双極性障害で入院していた彼らの母親レスリーが突然自殺したという知らせが届く。キリスト教式の葬式を望むレスリーの両親と、遺書に書かれていた「仏教式の葬式で弔ってほしい」という彼女の願いを尊重したいベンは衝突し、ついには葬式に出席することさえ拒まれてしまう。どうにかして仏教式の葬式をあげたいベンと子供たちはレスリーの葬式へと乗り込もうとするが、それは大自然の中で育ってきた彼らにとって消費で溢れた社会へと踏み出す第一歩だった。

冒頭の血にまみれた動物の肉を貪っているシーンで「これは無理」と思ったが、どうにか耐え抜いた。アメリカは日本に比べると思想強め(日本は思想弱め)で、自宅教育も認められているらしい。特にベンのように資本主義を嫌う人が多いイメージだが、それにしてもなかなかハードな設定だ。ちょっと肉をそのまま食べるのはやめてほしい。

妹夫婦の家での食事シーンが印象的。ベンの「悪気はなかった、善意でやってた」的な発言があるが、みんなそうやってモンスターペアレントとか、今で言う「毒親」になっているんだろう。監督は「娘と過ごせる時間は大学生になるまでのあと8年しかない、いろんなことを教えたい」と言っていたけれども、資本主義で栄えた社会を生きることを考慮しつつ賢い子供を育てたいものですね。考慮とかするのが大衆の愚鈍さと言われても、私はやっぱり今の社会が生きやすい。さすがに水まで商品にしたりとか、消費が過剰だとは思うけど。