ヤマダ

はじまりへの旅のヤマダのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.5
アナキズムの様な思想を持つ父親に育てられた一家の、思っていたより上をいく言動のヤバさには笑った。
資本社会を拒絶し己の主義にそって子供を鍛え育てるベンという父親は余裕でアウトなのだが、凄く魅力的でもある。
一見するとベンは傲慢で独善、支配的で偏った思想家の様だが、その一方で子供の自主性を尊重し必ず意見に耳を傾ける面を持ち、妻と子供達、「家族」を何よりも愛している。
ベンがのちに「やり過ぎた」と猛省する通り、その教育法は明らかに問題があるのだが、一方でその教育のある側面のお陰で同年代のどの子供よりも成熟した教養と自我を持った子供達を見ると、ベンの子育てを全否定するべきか否かと中々に考えさせられる。ただその辺りは映画の方で良い案配の答えに落ち着いてくれるので物語が終わる頃にはスッキリとするのだが。ラストの、子供達と共に食卓を囲うベンの満更でも無さそうな佇まいが微笑ましい。
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