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クリード チャンプを継ぐ男のishiwasaのレビュー・感想・評価

4.2
もう本当に良かった。熱くなった。
体裁としては、ロッキーシリーズの最新作に当たるわけですが、スタローン版「ライムライト」とでも言いましょうか、監督も主演も若手に託し、自らはプロデュースと助演に徹しております。
「アポロの愛人の子を育てるロッキー」ではなく、「ボクサーになるためにロッキーを探すアポロの愛人の子」のお話です。
ロッキーはあくまでも脇役で、ロッキーにトレーニングを受け、試合に挑み人間的に成長してゆくアポロ愛人の子=アドニスクリードの勇ましい姿を描写して行く映画です。
ロッキー世代には堪らん作品ですし、アドニスが主人公なのでロッキーシリーズを知らなくてももちろん楽しめます。でも、たまむすびの町山解説ぐらいを観てから行くとより楽しむ事ができます。
僕が観た劇場では、「トランクス」のシーンぐらいから涙が止まらないおじさまが多くいらっしゃったようでして、それはもう良きファンに巡り会えたと感じましたよ。
監督のライアンクーグラーと、主演のマイケルBジョーダンは、現代のアメリカに残る人種差別を描いた「フルートベール駅で」からの連投コンビ。その2人に賭けたスタローンはとても偉い!
そして、そのスタローンが良い!「ロッキーザファイナル」から約10年…この期間に「エクスペンダブルズ」シリーズで還暦を越えて尚ムッキムキの肉体を見せつけ"不老感"の演出にこだわり続けたスタローン…今回は徹底して"老い感"を見せつけてくれます!いつの間にか老いてしまい、エイドリアンもこの世を去り、息子とも離れ独り暮らし。そんなロッキーがアドニスと出会い勇気を得てラストの試合リング上でかける言葉がアツイ!老いたスタローンの演技で、ishiwasaの涙腺ダム決壊!

いや、本当だよ?
あのスタローンだよ?
ロッキーでアカデミー賞を受賞したとはいえ、ラジー賞に何度もノミネートされたあのスタローンだよ?

今回、彼はこの老いたロッキーの名演でゴールデングローブ賞の助演男優賞にもノミネートされております。
それも納得の、老いてなお熱き闘志を若き才能にぶつけるという老トレーナーを演じ切っています。これは若きライアンクーグラーという監督の才能を信じた結果でしょう。

勿論ファイトシーンも素晴らしいですよ。
中盤のアドニスのデビュー戦は、カットを切っているような見せ方に感じるのですが、ワンカットで撮られています。これにより役者の動きをライブで見せられているような感覚を体験する事ができ、痛みも鼓動も闘志も過剰なほど伝わってきます。

アドニスを演じたマイケルBジョーダンは本当にハンサムですね。羨ましいぐらいハンサムです。ロッキーも出会った当初「賢そうな顔だ」と言葉をかけますが、知性を感じる顔立ちですよね。そのルックスが、アドニスが辿った人生にもシンクロしており、俳優ありきで脚本を作っていったのでしょう。ロッキーの1が生まれた時と同じような製作方法で好感が持てます。
施設育ちの過去が影響し、感情が抑えられない未熟な部分も上手に演じており、今後の俳優としてのキャリアが期待できます。
カイロレンぐらい未熟です。

さて、私はクリードを観て、闘志が湧いてその足でジムに行きました。ファイトレッスンと筋トレレッスンとランニングをしました。

劇場を出てあまりの良さに興奮して嫁と喋りまくっていたら劇場に荷物を全て置き忘れた事に気付きました。

闘志が湧くと、何か忘れます。
皆様も忘れ物にはご注意を。
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