あでゆ

エイリアン:コヴェナントのあでゆのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
4.6
宇宙移住計画を遂行するため、コールドスリープ中の男女2,000人を乗せた宇宙船コヴェナント号は、植民地の惑星に向かって宇宙を航行する。最新型アンドロイドのウォルターが船の管理を任されていたが、途中で事故が発生。乗組員たちは必死で修復作業に取り組む。

マイケル・ファスベンダーのマイケル・ファスベンダーによるマイケルファスベンダーの為の映画。
フードを被ったレジスタンス風のマイケル、髪を切るマイケル、笛を吹き合うマイケル、機械的に美しく戦うマイケルなど、とにかくフェチシズムを埋めるためだけのシーンだろと突っ込まざるを得ない描写ばかりを魅せられた。
全然関係ないけど、マイケル・ファスベンダーとトム・ヒドルストンちょっと似てるなと思ったりした。二人ともロキを演じている俳優として(今作でのデヴィッドはロキがモチーフとなる)、出自が同じだったりするのだろうか。

『ブレードランナー』でもお馴染みの目のアップから始まり、今回は誰がどうみてもエイリアンではなくアンドロイドのお話だ。ここは『ブレードランナー』と同じなんだけど、筋としては支配者層だと思っていた被支配者層である人間と、本質的な支配者との関係を巡る話となっている。
この辺のテーマはオープニングから提示はされていたのだけど、デヴィッドが錬金術師か悪魔崇拝者的なラボで、魔改造した前作のヒロインの身体を用いてエイリアンを作っているシーンは予想はついてもアガらざるをえない。特に始めてビッグチャップが産まれるシーンは鳥肌モノだ。この辺は『REC●』なんかを思い出したりもした。

アンドロイドが創造したものだとすれば、エイリアンに灯油ポンプなどの機械的な意匠が凝らされていたこともなんとなく納得が行く。

もはやここまで神話的なモチーフを持ち込んでくると、B級ホラーとしてのエイリアン戦闘シーンが虚しく思えてくるんだけど、まぁその辺りはお約束だろう。
ここ最近の(今考えるとずっと一貫しているのだが)リドリー・スコットの連続する宗教観みたいなものは、とても単純で教育番組のようであるけれど、それでも感動的に思えてしまうのは、こういった物語を我々が原理的に美しいと感じるからだろうか。

続編の話はなくなったということだったけど、未来にデヴィッドは存在していない。
だからこそ支配者となったデヴィッドもゼノモーフに裏切られて円環構造を成すと思うので、是非そこまでみたいところだ。
あでゆ

あでゆ