バートロー

ボーダーラインのバートローのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.5
ルールもモラルもFBIの肩書きも一切通用しないメキシコで謎の男と謎の任務に翻弄される女性捜査官。これはまさにゴリッゴリの体育会系版クラリスの物語だった。
メキシコ麻薬戦争の体育会系っぷりは常軌を逸した容赦の無さであり、それを追い詰める"犬達"も負けず劣らず狂っている。その中でも異様な存在感を放つベニチオデルトロ。彼こそ、この麻薬戦争の終わらない暴力と憎しみの連鎖を体現した人物で後半は一挙手一投足に釘付けになった。エミリーブラントがクラリスならベニチオデルトロがハンニバルレクターでありシカリオだ。闇を覗く時、闇もまたこちらを覗いている。

開始1分も経たずこの作品の傑作を確信し、中盤は主人公ともに砂漠に置き去りにされ、ラストはデルトロに酔いしれる…始めから終わりまで見えない銃を突きつけられているような緊張感の張り詰めた映画だった。