名倉

グレイテスト・ショーマンの名倉のレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.8

元々ミュージカル映画が食わず嫌いでしたが、姉の薦めで鑑賞した結果、「姉よ、新しい扉を開けてありがとう...」と全力で感謝しました。

ストーリーの内容が霞んでしまうほどミュージカルシーンが凄まじいです。思い返すとそっちばかりに気を取られますが、ストーリーが家族愛を描いたハートフルな内容で良かったです。

この作品は主人公バーナムのだらしない部分がとても重要な要素になっています。ショーの大きな失敗を招き、家族崩壊の危機、仲間割れの可能性など危なっかしい場面、この映画であえてヒール役を挙げるとするならば、主人公のバーナムでは?と思ってしまうほどです。

しかし、いかにも権威的で偉そうな人に『完璧な人間はいない』と言われるよりも、欠点を抱え悩む人間にポツリと『完璧な人間はいない』と言われた方が胸に刺さります。主人公をあえてダメな性格として描くことでこの映画のメッセージ性がより胸にきました。

周りから笑われてきた欠点を逆に武器として個性に落とし込み、コンプレックスはコンプレックスじゃ無くなるということをこの映画は教えてくれます。このメッセージ性が主人公の頼りない点や身体的に特徴のあるサーカスの劇団員を通して観客側にどう届くかで今作の評価は大きく別れる気がします。

個人的には、主人公にはそういうだらしない一面は映画に求めない主義なので、バーナムではなく他の誰かに背負って欲しかったなとは正直思いました。出来れば、歌手ジェニーのその後も何かしらで描いて救って欲しかったなというのも思うところです。

しかしそうとは言え、とにかく歌が始まる度に興奮します。曲が始まる瞬間は「ん?なんか急に歌い始めたぞ...やっぱりこういう系はちょっと...」と思ってしまうのですが、ミュージカルという力技で押し戻されるので、サビに向かって役者の踊りやステージの変わり様、統一感にエクスタシーを感じます。慣れてきた頃には、映画に出てくる観客達と一緒に手を叩いて楽しんでいます。90分があっという間な感覚でした。

色々なコンプレックスを抱えた人たちがミュージカルを踏んで変わっていく様子は本当に最高です。歌が聴きたくてDVDも何度も見返しました。DVDとは別でサントラも欲しくなる一作です。
名倉

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