享楽

ネオン・デーモンの享楽のレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
4.0
酷い言い方をすれば、「美への執拗な所有欲」から成り立っている女共の階級闘争を描写しているように映ったが、登場人物らがそれにしか価値を認めないからこそ我々観客もそこに酷さから美しさを見出そうとする憐れみにも似た価値転換を発生させる…そこにおそらく今作の力があるのだろう。それでも総合的に見て私の目には酷いものに映るが、これはそもそも男尊女卑的なるものを象徴しているとも言える。なぜならこのフィールドにおける神は、女の美しさを認める上位の存在が、自ら創造の血が流れていると自称しているあの男であり、そもそも彼女らの美しさはフィルムや虚飾を通してしか成り立っていないし、もしそこから彼女らが外れてしまえば、自らが階級の上位にいるという優越感=承認欲求を満たす生への価値が無へと化してしまうという、まさにファッション界の暗黒が皮肉にも美しく映っているのだろう。
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