ルーク大佐

トゥルー・ストーリーのルーク大佐のレビュー・感想・評価

トゥルー・ストーリー(2015年製作の映画)
3.6
虚無の目。共感性が感じられない目。いわゆる死んだ魚のような目。
日常生活でこんな目つきの人がいたら視線を合わせず存在を無視するだろう。健常者には見えない。関わり合いたくない。下手に興味を持つと虚無の世界に引きずり込まれそうだ。

ジェームズ・フランコはとらえどころのない目つきで妻と子ども3人の殺人容疑者を演じ切る。こんな無感情の目をしていたら日常生活に影響を与えないのだろうか。そんな心配をしてしまった。

むかしジョディ―・フォスターは映画の撮影でレイプシーンがあり、それがしばらくトラウマになったと胸の内を明かしていたし、日常生活に影響を及ぼしていたのだ。日常と演技の時間帯、要はオンオフを完全に切り離せるのならば、役者って仕事はすごい。

さて、この映画は事実ベースの話。
容疑者は記者の本能である好奇心や功名心を悪用して「トゥルーストーリー」は何なのかをなかなか明かさない。他人の感情を支配し悪用するあたりは、サイコ気質があるのでは。

ジャーナリストや弁護士が無実の疑いのある死刑囚を助けようとする話はたまに見かけるが、たいていはそこそこのサスペンスを味わえるので個人的に好物の分野だ。地味でシリアスなストーリーだが90分の作品なので、あまり肩に力を入れすぎずに最後まで飽きずに見ることができる。

フランコがジャーナリストでジョナヒル以外の役者が容疑者を演じる作品を見たいと思った。
ルーク大佐

ルーク大佐