佐藤克巳

春琴抄 お琴と佐助の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

春琴抄 お琴と佐助(1935年製作の映画)
5.0
道修町薬種店の盲目のこいさん田中絹代と、一切の世話を請け負って丁稚奉公する高田浩吉の、音の世界に埋没して一生を貫く谷崎潤一郎の耽美的小説を見事映像化した島津保次郎監督の傑作。明治初期の上方情緒溢れた豪華大作でありながら、ててなし子孕む田中、献身的に尽くす高田を丁稚風情と見下げる田中、ぼんぼん斎藤達雄の額に傷をつけ復讐で顔に重度の火傷を負った田中、田中を慕って両眼に縫針を突き刺す高田と、サドマゾ官能的題材の衝撃と美しい純愛の物語を、ヌーベルバーグ顔負けのタッチで描いた野心作。
佐藤克巳

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