マチダひかル

バレエボーイズのマチダひかルのレビュー・感想・評価

バレエボーイズ(2014年製作の映画)
3.8
*レビューと言うよりほとんど日記みたいな感じになってしまいました。

 昔バレエを習っていたことがある。はじめは踊れるのが本当に楽しくて楽しくてしょうがなかった。費用が高いのでレッスンは週1度だがその分、家でいくらでも練習した。
 でも、いつからだったんだろう。周りの人のしなやかな動きと、自分のぎこちない素人にしか見えない動きを見比べて劣等感と羞恥心しか感じなくなっていた。教室を辞めるときに、最後だからと出演させてもらった発表会での自分の演技も衣装に申し訳ないくらいひどいものだった。気がついたら、「バレエなんか大っ嫌い、バレエのことなんか知らなければよかった。」と思うようになっていた。
 教室を辞めてからは踊ることはもちろん、バレエ鑑賞もやめた。というかバレエ関係のものは積極的に避けて見ないようにしてきた。未練がないわけないけど、それで気持ちがものすごく軽くなったのも本当だ。自分の醜い動きや惨めな気持ちを忘れられるし、バレエが上手な人のことを羨まなくてすむから。もっと正直に言えば、バレエを一生懸命練習している人を嫌いになってしまう自分を嫌いにならなくてすむから。
 そうやってバレエを忘れたつもりだったけどバレエボーイズという題名を見て、自分がほんの少しだけどかじっていた世界を違う角度から見てみたいと思った。気づいたら視聴開始ボタンを押していた。
 バレエをこんなにしっかり見るのはいつぶりだろう。正直言って、映画としての質はそこまで高くないと思う。面白いけど浅いというか、中途半端な終わり方の印象を受けたし。密着する期間はもっと長いほうがいいんじゃないかと思う。これからが見ごたえのあるシーンだと思う。あとルーカスの存在感が強すぎる。他の2人との関係性をもっと細かく撮ったほうがいい気がする。
 でも自分はこの映画を見て、踊るのが楽しくて楽しくてしょうがなかった頃のことを一瞬、思い出した。バレエが美しいものだっていうことを思い出せた。自分はバレエが嫌いなんじゃなくて、好きなのに思うように踊れない自分が嫌いだったんだと気づいた。すごく嬉しかった。自分はバレエを本気で踊りたかっただけなんだ、とわかった。どうしよう、またバレエをやりたい。無理だとわかっていても、本気でバレエの美しさを追求してみたいと思ってしまった。やっぱり見なきゃよかったかもしれない。でも自分みたいにバレエが好きだけど踊り続けられない人のほうがずっと多いから、舞台の上で輝く一握りの人たちはより一層美しく輝くのかなと思った。そういう理由で自分を納得させるのはまだ難しいけど、今じゃなくていいからいつか、バレエを美しく踊る人のことをただただ純粋な気持ちで褒め称えられるようになりたいと思った。

追記
この映画見終わったら、三人のその後をぜひ調べてみてください。バレエボーイズ公式サイトに彼らのインスタのURLがあります。

学校、ずる休みした日に見た。