しおの

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発のしおののレビュー・感想・評価

2.9
確か新宿シネマカリテだかで上映していて、古いSF映画を連想させるような邦題が気になったが結局スルーした。その後GEOで新作が出たときに借りて観ることになるがそれ以来の鑑賞ではじめて観た時はイメージとの違いに面食らった。確かには酷い邦題だがインパクトを残すにはそれなりに効果があった。何故か当時やたらとアイヒマンやハンナ・アーレントが流行っていて映画、書籍を見かけたが、それにあやかった邦題かと思う。そうでなければ一研究者の地味な思考実験の映画などほとんど見向きもされない。内容は結構面白いと思うのだがドキュメンタリーや書籍でそれなりに知識がある人にとっては退屈な映画なのかもしれない。二度観てみて二度見る映画でもないなということがわかった。「後ろを理解し前へ進む」というキルケゴールの言葉を引用して、客観的な事実が人間の自己愛を挫くものだとしてもそれを認めなければ人類の進歩はない、というのをそのこころとし、この映画はアイヒマン実験の意義を推している。コロナでエビデンスデータや同調圧力が注目されているが感情論は依然強い
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