さな

ロマンスのさなのレビュー・感想・評価

ロマンス(2015年製作の映画)
4.1
仕事は出来るけれど、プライベートになると迷ってばかりで、変に可愛げのない鉢子がどことなく愛おしくなってしまう。胡散臭い万引きのおっさんと仕事途中で放棄して母親探しにでるのは、正直よくわからないし、やや強引な展開。それでも、鉢子とおっさんの会話がとにかく軽快で、後輩の久保ちゃんも実際に一緒に働いたらイラっとするだろうけど、映画だから面白い。過去が所々混ざって重くなるのかと思いきや、妙な軽快さがあるから本当に最後までみやすい。タナダ監督の描く女は、自分と遠くにあっても、なぜかわかる気がする。結局、あんなに毛嫌いしていた母親と同じように鉢子だってダメ男にひっかかってる。おっさんと一緒に過ごして、心開いた鉢子と一緒に歌うシーンは和やかで、さっぱりと後腐れなく別れるのがいい。オープニングとエンディングの鉢子の顔つきが変わった気がした。まぁ、でも1番好きなシーンは、二人で自転車で坂を下っていくとこが凄く開放感あふれていて一気に箱根に行きたくなった。決して問題は解決しないし、大きな見せ場はなく淡々と進んでいくけれど、見終わったあとは、ちょっとだけ自分を肯定してくれるような、少しだけ暖かい気持ちになれる映画。主題歌、すごく映画にあってていい曲です。ゆったりとした邦画が嫌いじゃない人にはオススメ。
さな

さな