KATO

マイ・プレシャス・リストのKATOのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・プレシャス・リスト(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「幸せとは何か」
物質的・金銭的に恵まれていても幸せだとは限らない。だったら、高級腕時計をつけているサラリーマンはもっと満たされた顔をしていてもよさそうだし。
幸せになりたいといって、何をしていいのか分からないという人は案外多いのはないだろうか。身近な幸せに目を向ける、とかそういう話ではなく。

大人だからといって正しい判断ができるわけではないのだな、と。俯瞰して見れるときばかりじゃないし、俯瞰して見れないことのほうが圧倒的に多い。現代は、やらなくちゃいけないことが多すぎる。
一回放棄したいところだけど、それが出来ないからなぁ。
作中に出てくる大人たちが、みんな若干汚れているのが印象的。まっすぐに生きれないことを“大人”のせいにしてる。ズルい生き物として捉えられていた。
未成年に手を出す大学教授(飛び級が認められている国は結構ありそうだな……)、娘を愛しながらも上手くいかず黙って結婚を決めてしまう父親、夫婦仲が覚めていることを言い訳に不倫をするセラピスト。これが現実だと分かっていても、なんだかなぁと思うのは私だけじゃなさそう。
そして、この人達が幸せかというと微妙な気もする。

隣に住むサイは、キャリーが出会ったなかで一番まっすぐに幸せを目指している人だと感じた。自分のやっていることに疑問もなく、不安を抱えながらも一所懸命って簡単にいうけれどみんなが出来ることじゃない。
問題もあるみたいだけど、だからといって腐らないし。とても魅力的だ。みんながサイのように生きれたら、もしかしたら幸せといえるのか。そこはやっぱり人それぞれかな。

伏線の回収が見事。一度セリフで登場したことがすべて作中に登場していて、なるほど!と嬉しくなった。
ラストシーンも見事。サイのまっすぐな人柄と、二人が知らずに築き上げていた関係、これからの未来が想像できるようなラストだった。
気持ちが明るく、明日からも少しずつ頑張れるかもと思わせてくれる作品だった。
とりあえず、子どものころから好きだったことやものは、自分のためにも大切にしてあげたいと思わせてくれる。
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