あお

エール!のあおのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.0
聴こえない両親と弟、そして家族の中で
唯一音が聴こえる長女ポーラ。

彼女がコーラスの授業の中でその才能を見出される場面。

彼女の中に閉じ込められていた声が、殻を破って出てきたその瞬間、誰よりも彼女自身がそれに驚いて教室を逃げ出してしまう。

今まで、家族のためにと生きてきたポーラが、本当の自分と出会った瞬間だ。

耳が聴こえない家族を置いて行けないという葛藤。
当たり前のように、ポーラをとどめておきたいと願う家族。

ラストの、コンテストのシーンがいい。
手話を交えながら、家族に想いを伝える。
あの時、彼女は審査員の前で上手く歌うことなんて考えていなかった。
ただ、愛する家族に想いを歌で伝えたい。
それだけだったに違いない。

その想いは、作品を観ている私たちにも十分に伝わってきた。

聾でありながらも、少しも卑屈にならず生き生きと暮らす家族の姿や、皆の性に関するオープンなあり方も印象的だった。

ポーラを演じたルアンヌ・エメラの歌声が素敵。

ラストに駆け出す彼女の姿に、明るい未来を願った。
あお

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