Yムラカミ

エール!のYムラカミのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.2
コーダを観た後なので基本的な流れとしては一緒ではあるが、コーダの方が人物像を深掘りしていると思った。

被写界深度を深めにとって景色全体を見せたりワイドショットが多い印象で絵画的なビジュアルだったが、後半は人物に感情移入できるように寄りも増えて作られておりやはり感動的だった。
被写界深度が深いことでポーラの部屋に映るインド神話のポスターや先生の部屋にあった能面が何を意味しているのか考えていたが、インドには障害者が数千万人いるとされるので関係あるのかとか能面といえば観阿弥と世阿弥の師弟関係などを想起した。
そういえば神をエールと呼ぶよね。

冒頭から農業国であるヨーロッパの風景に魅了され、そこに暮らす素朴なポーラが夢と家庭という現実に挟まれ苦悩する姿がやはり魅力的だった。

こうして同じテーマの作品でも見比べてみるとコーダでは滑らかなカメラワークだったが、エールでは固定カメラで素朴な印象があるなど表現手法にも違いがあって面白かった。
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