saki

エール!のsakiのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.0
自分以外の家族全員が聾唖者の主人公。
当たり前にテレビや対人等日常の全てを通訳し、家業の酪農を手伝い、取引業者との連絡を担い、マーケットでは彼女がいないと客にチーズを売ることも出来ない。
垢抜けないティーンらしからぬ服装、生活ぶりにこんなフランス映画もあるんだと思ってしまった。

家に縛られ搾取され、苦労多き高校生...と思うんだけど(実際そうなのかもしれない)家族同士は絆が深くて愛し合ってる、暖かい明るい家庭。
口は悪いけど人情に厚いお父さん、お洒落でお節介な明るいお母さん、ゲームに夢中なおませな弟...家族は隠し事もなく常にオープンで、支え合ってるのがわかる。だからこそ夢を追えずに悩むんだけど。
自分以外の家族のために、人生の色んなことを犠牲にして諦める人はたくさんいるんだろう。

全体的に全然飽きなくて楽しめたけど、もっと主人公が「歌うこと」に対して何かしら執念というか思い入れがあるような描写・エピソードがあればいいのにと思った。パリの音楽学校に行きたい!!!って思う熱い気持ちはどこから来たんだろう?
終盤のオーディションシーンは泣けた。
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