けすん

エール!のけすんのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.1
聴覚障害の家族を持つポーラが、様々な壁に阻まれながら自分の夢を追いかける物語。フランス音楽をほとんど聞いたことのなかった自分にとって新鮮で、また魅力に気付かされるきっかけとなる作品となった。

物語はシリアスな展開が多いと思いきやコメディ要素も十分にあり、重たすぎず見ていて飽きることがなかった。そして何より家族の本当の愛というものを感じることができる。聴覚障害という大きな壁がある中でも、お互いのことを最大限に思いやり、時にはぶつかることもあるが幸せになることを切に願っている。ハンディキャップを抱えている家庭=不幸と考えるのは浅はかであり、幸せとは多種多様なものだという教訓を感じることができた。

発表会の時にポーラの家族目線になって音が聞こえないという演出は本当に素晴らしいと思った。聞こえなくても周囲の人たちの表情でどれだけのことを成し遂げたのか理解するという今まで描かれていなかった家族の目線をあのタイミングで持ってきたのは良かった。

最後の家族が抱き合うシーンは感動的。言葉が上手く話せないからこそ、サイレントで抱き合ってそのまま名残惜しくお別れをする。あのシーンに言葉は無用であったと強く感じた。
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