GORANSHIN

ガールフッドのGORANSHINのネタバレレビュー・内容・結末

ガールフッド(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。
フランスの移民系黒人少女の思春期の物語なのだけど、不良文化ってどの国もそんなに変わらないんだなと思った。
片親(それが民族的な所から来る社会での立ち位置の低さに原因があるのか)であり、兄が地元で有名な不良であり、グループを作ってカツアゲしたり、他グループとのケジメの付け方がタイマンだったり。

ストーリーテリングとしては決して新しいわけではないけれど、気になる男の子に近づくために不良グループに入る始まりから、自分で選択したつもりの人生がどんどん危ない方向へ進んでいく流れがとても自然で、かつその中で見える主人公のマリエムの人間性がとても切なく、魅力的だった。
特に自分のように不良の道に進もうとする妹に怒るシークエンスは素晴らしかった。
兄は何故、マリエムが怯えるほどにいつも怒るのか、マリエムが今足を突っ込んでいる世界はどういう所なのか、そしてマリエムがどれだけ妹の事を想っているのか、にマリエム自身が端的に気づく描写であり、自立へ向かう第一歩でもあったように思う。

が結局、マリエムが手に入れたい未来は不良グループの仲間たちの中にも、麻薬の運び屋をして稼ぐ世界にも、初めて出来た彼氏との結婚•出産の中にも、それらから抜け出して帰ってきた家族の中にもなかった。
切なさと清々しさが同居するラストシーンの演出のキレといったら。

運び屋の世界から抜け出し、彼氏にも別れを告げて帰ってきた自宅マンションの入り口。インターホンに出た母の声には応じなかったが、察した母はオートロックを解錠、マリエムは取手に手を掛ける。
しばしの間。
マリエムは手を離し、泣きながら膝からくずおれてフレームアウト。少しして今度は決意の表情に変わったマリエムが、上手からフレームイン、そのまま下手にフレームアウトしてカットアウト。黒みにエンドクレジット。

このラストカット含めて、セリーヌ•シアマはフレームの切り取り方とそれに付随するキャメラワーク、フレームの内外(オンオフどちらで描くか)の選択に無駄が無く、めちゃくちゃ上手いと思う。
それでいて、キャメラワークがこれ見よがしではなく、キャラクターの心情を適切に切り取った結果として機能しているように見える。本当に素晴らしい映画作家。
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