ろく

温泉ポン引女中のろくのレビュー・感想・評価

温泉ポン引女中(1969年製作の映画)
4.0
あれ、温泉芸者シリーズってこんなに殺伐としていたっけ。

もう石井輝男の弟子である荒井美三雄が輝男の悪いとこだけを学んで作ってしまったという「愛しさと悲しさ」が満載の本作(でも心強くない)。ああ、だめ映画なんですよ。

だいたいストーリーが・・・・
エロコメディ(よし温泉芸者だ。おっぱい祭り「美人薄命。私もパンティ履くめいよ」。中田ダイマル・ラケットもエロ熱演)

ウェット人情もの(岡田真澄がうざい。すぐ暴力をふるう岡田。この展開は大映で十分だ)

異常性愛路線(なんだよ、野獣パーティーって。「恐怖奇形人間」か。ここからは石井輝男のテイストだだ漏れ)

バイオレンス(なぜか血だらけになる温泉芸者。モーターボートが突っ込んでお風呂は血だらけ。ああああ。やっちまったなぁ。映画台無しだぜ)

サスペンス(拷問される橘ますみ。火あぶり拷問。さらには橘の男も銃で血だるま。「俺にかかわらずお前は行け」)

コメディ(黒幕を銃で脅す楽しいシーン。急にトーン変わり観ているこっちがついていけない。橘・葵の水着がオシャレ)

またサスペンス(赤ん坊を銃で撃とうとする。実在の赤ん坊ね。これは虐待では。主役の葵は子供を助けようとして簡単に死ぬ。鼻血。その後は車のカーチェイス。爆発!)

なぜか最後はみんな死んでいるのに笑顔で体を売る橘(そして笑顔の小池朝雄)。

とここまで書いてもなんだこの作品と思われるはず。作品の一貫性などまるでなくその場の雰囲気で筋決めているだろと思う展開に茫然。タランティーノの「フロムダスクティルドーン」より無茶苦茶。ある意味最高だけど点数はつけがたい。いやこれはこんな意味不明な作品を作って世に出してしまった東映に拍手です!!!
ろく

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