あやな

スター・ウォーズ/最後のジェダイのあやなのレビュー・感想・評価

3.6
(一応全作観ている上でのレビューです)
嫌いじゃない、嫌悪感はない、けど心動かされるものはない。
今更、ここで持ってくる?って思ういくつかのテーマの提示と、中途半端なアンサー。元を否定して再構築したいのか、むしろ継承したいのかはっきりしないスタンスの曖昧さ。全然進まない展開。かと言って、新しいスターウォーズと言えるほど振り切った作風にもなっていない。
そして、編集と音楽の使い方が全然ダメ。映像は良かった、って言ってる方も多いけど、私は映像(主にカット割り)は酷かったと思いますよ。音楽に関しては割と原作レイプ並みの酷さ(担当はいつも通りジョン・ウィリアムズなのに!)
そして一番ダメなのはキャラ造形。人間側の人種的な多様性とかいらないんですよ。スターウォーズの多様性って被支配層にいる人間と宇宙人、獣の在り方だから。ローズっていう新キャラ、適当にアジア系で女性キャストでバランスを取った気になっている安直さが『ワンダーウーマン』並の最悪さです。愛がどうとか、笑わせないでくれ。

多分議論の中心になっているであろうテーマの矛盾に関しては、確かに前作が『フォースの覚醒』というタイトルで、軸となるレイとカイロ・レンというキャラクターが出てきた以上、「フォースとは何か?」は避けては通れないテーマだったと思う。ただ、そのアンサーが余りにハリー・ポッター的だし、拡大解釈が過ぎる。フォースは神聖化されすぎた、と言うならむしろ縮小させるのかと思いきや。
1〜3のフォースとジェダイ、暗黒側の在り方、4〜6のフォースとジェダイ、暗黒側の在り方って割と分かりやすくて、整合性も取れてるし、作戦も分かりやすい。なのに今回はそもそもレジスタンスが何をしたいのか分からないし、何故「フォースと共にあらんことを」やジェダイが信仰の中心なのかも分からない。ファーストオーダーの何が「悪」なのかさっぱり提示されてないわけです。じゃあ、レジスタンスの言う「希望」って何ですか?
確かにフォース、ジェダイ、正義はそれぞれ違うもの。それを再確認したいのは分かるけど、それでエピソード8なりの解釈って結局なんですか?オリジナリティってどこにありますか?もうエピソード3と5の焼き直しも、拡大解釈もいりません。欲しいのはもっと明確なアンサー。
フォースやジェダイ、英雄譚の聖性を否定するようなセリフがあるけど、構造はあくまで超人の到来を待っているだけ。凡人の作戦は準備不足で徒労に終わり、結局ホープはレイですか。フォースの神聖化と凡人による話はもう『ローグワン』でやったじゃない。それを本編に引っ張り出して、その結果がレイの超人っぷりを高めているだけ(そもそもレイって血でもないのに何でそんなに頑張ってるわけ?超人じゃん、というのも含め)。
回りくどく過去作の批評な再定義!再認識!て騒ぎ立てて、本人が「物語」に巻き込まれて抜け出てないんだもの、ちゃんちゃらおかしいですわ。
あやな

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