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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けのTSUMOのレビュー・感想・評価

3.5
遡ること、2017年12月。「フォースの覚醒」の続きが気になってしょうがない終わり方から2年経ち、ついに年月を重ねたルークに会えるという期待を胸に「最後のジェダイ」を観に行った。観終えた当初は、肯定派だった。所々引っかかるところはあるけど、レイの成長のためには、ルークのあの結末は仕方がないんだ!!と思っていた。

 しかし、EP8を観終えて日が経つにつれ、僕は否定派になってしまった。暗黒面に堕ちたのかもしれない。いろんな悪い面が頭に浮かんでしまう(宇宙遊泳なんてアリか?! フォースを使えるとしてもそんなスーパーマンみたいな能力はどうなんだ? ハイパードライブで敵艦隊撃破なんてパワーバランス崩れてしまってるんじゃ? 公開前から論争が巻き起こってたレイの親の正体があんなことでいいのか?! ローズとフィンが一作だけであんな関係まで発展するのは早すぎないか?! なんといっても、ルークがあんな頑固ジジイみたいな態度はどうなんだ?! ラストシーンのみんながフォースを操れるかもよ!みたいな演出もスターウォーズらしさもない、ディズニーに洗脳されたか?!)。

不満が次から次へと出てくるようになり、EP8は期待を完璧に裏切った作品としてしか見れなくなった。観に行った映画で裏切られたと感じたのは、人生で初めてだった。
特にルークについては残念極まりなかった。亡くなって欲しくなかった訳ではない。EP8の肯定派にはルークは旧3部作から変わってないという人もいる。もちろん一理ある。でも、これまで7作見てきたファン、紛れもなく自分が求めてたのは、廃れた姿ではなくて、ただ、かつてのオビ=ワンのように、師として、レイに熱を持って指導し、希望を与え、熟練したライトセーバーさばきを見せる”ルーク・スカイウォーカー”だった。その様を見せていたらば、亡くなっても文句一つ出なかった。少なくとも僕は。

EP8後、僕のスターウォーズ熱は一気に冷めてしまった...。

そして2019年12月。3部作のラスト”スカイウォーカーの夜明け”の公開日がやってきた。一時期は観に行かないことを検討していたが、流石にそれは出来なかった。

まず感想をざっくりいうと、

良かった。
従来の”スターウォーズ”らしさが詰まっていた印象だった。ポーとフィンのバディの関係性、なんといっても個人的にはカイロ・レンが魅力的で、ルークの描き方も”そう、このルークが見たかったんだよ!!”と感動した。レイア姫に関してもキャリー・フィッシャーさんの生前未公開映像だけで作ったとはとても思えない素晴らしい演出だった。

同時に、今回の3部作の”リレー形式”の製作を心から悔やんだ。
スターウォーズという大作トリロジーは、間違いなく同じ監督、脚本家で作るべきだった。
例えば、MCUの個別ヒーロー作品では毎回目的(主旨)やヴィランが異なるので、作品ごとに監督(脚本家)を変えて様々な色を取り入れていくのは理解しやすい(マイティーソーが分かりやすい例かと)。
しかしスターウォーズはこれまでの旧、新3部作、今回だって3作通じての同じ敵、続く目的とストーリー(レジスタンスvsファーストオーダー)だ。
3作で統一したベクトルに物語を進めることが不可欠だ。
それなのに、異なる監督、脚本のEP8を挟んだことで、各作品で伸びていくベクトルは異なり、今回のトリロジーは内容の薄くなってしまっているように感じた。

最たる例は、EP9のパルパティーンだろう。この超有名な悪を過去2作でほぼ伏線もなく、今作でいきなりでっかく登場するのは残念だ。出すならもっと緻密に計画して伏線を張って出すべきキャラクターなのは間違いない。
レイの明かされた新事実も突然で、前からそんなフリ全然なかったじゃんとツッコんでしまった。監督はなんとか物語を上手くまとめたくて加えたのだろうが、単作のみでの扱いは、取ってつけたイメージを拭えない。

加えてEP8,9は各監督が、一作で強引に人間関係を発展させているように感じた。自分の色を出すためというのもあるだろう。結果、1作で一気に距離の近づくフィンとローズ(EP8)、急に固い絆ができるレイフィンポーの3人組(EP9)、3部作ならもっと丁寧に描いて欲しかった。
フィンとローズはやっぱり3部作なのに1作でキスまで早すぎる、恋模様にするならローズはEP7から少しでも出しておいて欲しかった。レイフィンポーの3人組行動もEP7,8は記憶になく、この3人組の絆を意識させたい、ましてやかつてのルークレイアハンを意識してるなら尚更過去作品から描いておくべきだっただろう。
立派なトリロジーには、それぞれの作品との繋がり積み重ねが不可欠だ。

今回のスターウォーズEP789は
3部作である意味を成せてない、これが自分が物足りないと感じる理由なのかと今は結論づけている。

3部作にだいぶ意識が行ったので、EP9に戻ります。
EP9に焦点をさらに当てると、
まず1番熱くさせたのは、
個人的にはベン・ソロのライトサイドの帰還でした。
これはEP7を見た直後からずっとカイロレンが戻る展開は熱いよ!と友達と話してきた。
それが本当に実現して非常に興奮した。レイアとハンの息子として、善を行うベンソロの姿は非常に様になってた。ただ、服装然り、ライトセーバー捌き然り、もっとライトサイドのベンをもっと長く見たかった。
アダム・ドライバーは間違いなく、素晴らしい俳優だった。

フィンとポー、このコンビはEP7,8,9でよく見れてたけど、2人ともやっぱり熱くて行動力もあり、観客を盛り上げさせ楽しませてたなと感じた。ポーのXウイング操縦はやはりとてもカッコいい。

個人的には、フィンは今回の女性との方が、境遇とか考慮しても、間違いなくお似合いかと。

あと、所々で過去のオマージュがあったのも、全て見てきた人にとっては堪らないものだったと思う。自分もあぁと唸るシーンは幾つもあった。


一方で、どうしても首を傾げてしまうのはレイだった。カイロレンとの繋がりのせいとはいえ、前作から自分勝手な行動が多すぎるように感じた。レイのことを想ってくれてるフィンやポーに何も言わずに単独行動してしまうシーンがいくつか有り、それでも絆とか強調してくる演出には、少し冷めてしまった。そんなレイを大切に思い、ずっと心配してくれるフィンは本当にナイスガイだよ、物語が進むにつれてフィンの好感度が高まるばかりだった。スカイウォーカーとの血の繋がりもなく、結局レイはどこか物語から浮いていたかと....ベンソロの方が、どうしても魅力的に感じてしまう。


どうしても批判が多くなってしまいましたが、それはスターウォーズが大好きで、期待値が爆上がりしてしまったからです。汚したり蹴落としたりしたかった訳では決してないです。

今作は興奮する展開も多々あり、スケールも過去最大で、ハラハラドキドキして、とても楽しみながら鑑賞していた、それは間違いない事実です。


今回でスカイウォーカーの物語が完結したということですが、また新たにスターウォーズを作るのに正直今は納得してません。僕は、ライトセーバーやフォースでなく、”スカイウォーカー家”こそが、スターウォーズの1番大きな形成要素だと思ってます。
その根幹をなくしてできるスターウォーズがどのようなものとなるのか、不安を覚えつつ、また数年スターウォーズの世界を離れることとします。


ひとまず2019年、ここで一度区切りを。
ありがとう、9作のスターウォーズ。
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