ユキ

ぼくとアールと彼女のさよならのユキのレビュー・感想・評価

4.0
思春期というのは、

誰とどこに座って昼休みを過ごすかが社会のすべてで、
学校で誰と会話をしてまた誰にそれを目撃されるかが社会のすべてで、
良くも悪くも自意識過剰で、
何かになりたい自分と何にもなれない自分のはざまで言い様のない不安にさらされる。


主人公グレッグもまさに絵に書いたような思春期まっただ中。ストーリーテラーも彼。
この映画の色彩はどこか淡く柔らかく、地に足ついてないような感じ。
グレッグと仕事仲間アールは名作映画をパクり(木綿じかけのオレンジとか)、B級にもなれなさそうな自主製作映画づくりのルーティーン。はじめから自分達は何者にもなれないと、予防線張ってるのかと思った。もう設定の何もかもが青く見えた。
文字通り斜に構えたカメラアングルとかも。
いちいちシーンに(~~してから◯△日目)みたいなラベル付けをするのもそう感じた。
話の語り手としての淡々とした雰囲気とは裏腹に映像から感じるものはとにかく不安定で、思春期を表現するにはうますぎる。いろんな要素が表面には出てこないところも、いい意味でひねくれてて、あの年代っぽいなという感じ。でも自分も通った道だから嫌な感じではないんだな。


思春期ってすごく各々が自分との闘いで苦しんでるような印象があるのだけど、そうやって自己の内に葛藤してたりするときでも、他者の愛(恋愛感情だけじゃなくて)はけっこう救いになるんじゃないかなと思う。
どんな風に苦しんでるときでも人間って誰かに認められたら少し生きやすくなるような気がした。


あとはなんかウェスアンダーソン意識?みたいな編集もちらほら。シンメトリーとか色味とかね。ヒュージャックマンの使い道笑った。ちゃんとエンドクレジットに名前乗ってた、(笑)
ユキ

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