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美女と野獣のMMMのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.4
「最高の『美女と野獣』だ。」

オリジナルに寄り添いながら、アニメーション版にない独自のシーンを展開させて、観る者の痒いところに手の届く、さらに深い『美女と野獣』の世界に誘ってくれた。

お馴染みの名曲たちは、素晴らしいアレンジを効かせ、目と耳に新鮮さを運んでくれる。
一緒に思わず口ずさんでしまうほどに、物語に没入させられる、心踊る出来栄えだ。

そして、なんと言っても、ベルと王子。
初めての出会いは、最悪の出会いから始まり、それはまるで二重螺旋構造の階段のように2人を隔たっている。
それでも、隔たり広いその階段が、緩やかにしかし急速に一つに交わっていく様は、まるで2人の心の歩み寄りを目の当たりにしているかのようで、強い感情の昂りを禁じえない。

多くの人々が経験したことがあるような、意中の人との大切なひと時を迎える前の浮き足立つ感覚。
そんな中で、ベルのドレスが煌びやかに飾られるシーンは必見である。
そして、ロマンチックな音楽と共に満天の星空のような空間の下で、初めて2人が手を繋ぎ、これまでで最も距離を縮め、触れ合う舞踏シーンにはもう!!
込み上げてきたもので、目の前が歪んでしまうほどに胸が熱くなった。
この昂りを経てからの王子の婉曲さ極めたベルを求め愛を告白する歌がまた、目頭を熱くする。
好きと言わずに、よくぞそこまで愛を歌った!まさに天晴れ。

最後の最後で、豪華キャストに驚くという仕掛けやエンドロールの粋な演出、記憶をなくしたお爺さんやベルの母、ガストンの心のモヤモヤやバラは散り尽くしたにもかかわらず逆転する展開の理由など、多くの伏線や疑問を紐解いたことを本当に称賛したい。
この実写版は、すべからく多くの観客を『美女と野獣』の世界に強く惹きつけることは間違いない。
キャラクターデザインも文句なし。
久しぶりに、再びライトアップした劇中に残る人の数に喜びを感じられた映画だった。

『美女と野獣』をBGMに、必ず吹き替え版を観ると心に誓い帰り揺られるバスの中より。
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