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スティーブ・ジョブズのnotitleのレビュー・感想・評価

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)
3.4
ダニー・ボイルの撮ったスティーブ・ジョブズの映画。それ以上の意味はない。

ジョブズの功績やら波乱の人生などは映画の題材としてはとても良い素材なのだが、今回はそこにはほとんど触れることがないので肩透かしを食らう。まあ、彼を扱った映画は何本も出ているし今更仕方ないのかもしれない。
謂わば、今回の映画は、既存のジョブズ映画のダイジェスト版+未公開シーン付きみたいなものだ。未公開シーンの割合のが多いけど。

脚本は、Apple製品の発表会直前のジョブズらを時代ごとに分けて追いかける変わった構造で、ジョブズの人間性と親子関係をピックアップするような形。
それ自体はそれほど悪くないし、新しい切り口でそれなりに面白味もある。会話シーンのシナリオもなかなか上手いからね。

しかし最低なのは編集。
現在のシーンに過去のシーンを無理矢理はさみ込むから、台詞がぐちゃぐちゃになって混乱を招く。しかも喋ってる人物を写さないオフショットでもガンガン台詞が差し込まれるから、どっちの人物がどっちの時代に話しているのか分からなくなる。過去と現在を対比させるためとはいえ、これはやり過ぎだったね。
おまけに、ただの移動シーンでも直前に会話シーンをボイスオーバーで被せたり再度差し込んだりする。勘弁してくれ。

ラストもまぁまぁ予定調和で、あぁそこに落ち着くのかという感じでさして驚きもない。
ここまで再現するならiPhoneの発表会シーンも少しでいいから撮っておけばかなり印象が違ったのではないか。

仮に、もしジョブズ本人がこの映画を撮ったら、あらゆる意味でこんな映画にならなかったような気がする。映画を見た後だから思うことだけれど。
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