オレンヂ

スティーブ・ジョブズのオレンヂのレビュー・感想・評価

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)
2.9
〜 ジョブズが本当に目指したのは外見のデザインではなく、垂直統合サービスによるライフスタイルのデザイン 〜

Appleが好きでジョブズが好きで映画が好きでアーロン・ソーキンが好きな自分が観てきました。

なんの前段もなく唐突に始まり、のっけから予備知識のない観客を突き放す。
その間何があったはまるで描かないまま唐突に次のエピソードが始まるので映画としてはもうまるで破綻してる。
唯一の救いはアーロン・ソーキンの脚本。
とてつもない会話量でまくし立てる業は健在。
マイケル・ファスベンダーもケイト・ウィンスレットもニュースルームでソーキンとコンビを組んでたジェフ・ダニエルズも良かった。

Apple好きの観点からだと、概ね人間関係もエピソードもベースの知識があったから、その上で会話劇を楽しめたけど、それにしても負の部分ばかりを強調しつつも見せ場の肝心のプレゼンはやらないので、フラストレーションは溜まる一方。
Appleもジョブズも上がったり下がったりの大きな波があるはずだけど、これは見せ場がまるでなく、下がった部分の総集編のよう。
復活劇のきっかけになったiMacの部分はもうちょっと盛り上げて欲しかった。
盛ってるなぁと思うような小エピソードもいつくか目についたり。

ただここで表現されたジョブズやAppleを見た目のデザインにだけこだわった芸術家気取りと見るのは言いたいことが伝わっていない。
クローズドによって、人々のライフスタイルを構築しようと模索していて、結果現在の垂直統合モデルに繋がってくる。
今でも自由度がないと揶揄されるけど、ほぼデフォルトのままでバックアップからコンテンツの同期まで一通り使えてしまうのは、そういったスタイルの提案なのだろう。

■予備知識
1995年からのMacユーザー。
ジム・カールトンのアップルの伝記と、ギル・アメリオの自伝は既読。
ウォルター・アイザックソンのジョブズの伝記は未読。
アラン・デウッチマンのジョブズ伝記は押入れに眠ってた。
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