やま

夜の人々のやまのレビュー・感想・評価

夜の人々(1948年製作の映画)
4.1
どうしてこんなどうしようもない彼に同情を覚えてしまうのか。人殺しで、刑務所も脱獄するような奴で、懲りずに銀行強盗するようなやつなのに。
ただ愛する女が出来て、その為に足を洗おうとするそれだけに強い同情を覚える。

16歳で人を殺しムショ暮らしをしていた彼は、女を覚えていなくはじめての守るべき存在に必死に頑張る姿に感動する。あの純粋無垢な子供の目に惚れる。
彼女もまたその目に惚れたのだろう。


似たような作品に「暗黒街の弾痕」がある。フリッツラング監督による演出は素晴らしいもんで、そちらのほうが僕は好み。
だけど今作は負けないほど、影の作りが上手い。夜にしか行動できない彼らという設定なだけに、上手く成されてる。


指名手配犯で終われる彼の不安を煽るような演出も上手く、バスで隣の赤ちゃんが大泣きするシーンで周りの人々が、彼を見つめるシーンは観ているこちらもヒヤヒヤする。

彼女と上手くいって欲しい!彼は改心したのだから!と思うのだけど、やっぱり悪い事した奴にはしっかりと罰が下る。

悲しい映画なのだけど、オシャレな暗さで包まれていて、心地良かった。最高の映画。
やま

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