夜の人々の作品情報・感想・評価

「夜の人々」に投稿された感想・評価

夜はただの時間ではない。それは感情であったり、憂いを夢に変えるものだったりする。
めちゃくちゃ良い。

(バスで他人の赤ちゃん抱いて降りた休憩所で格安式場見つけてバス飛び降りて電撃婚!)
ボニー&クライドのドキュメンタリー版といったふうの映画。
「起きるたび猫になった気分」
「希望のないものを助けてあげることはできない」
いいセリフが多くて古さを感じさせない。
昔の映画なので、テンポがゆっくりなんだけど、丁寧に作られてるので、目が離せない。
名作!
ニコラス・レイ監督、1948年のフィルムノワール。

そうせざるを得ない、どうしようもなさ。
そこから逃げ続ける若者たちの物語がハッピーエンドで終わるはずもなく。

結婚式のシーンがとてつもなく好き。
yuka

yukaの感想・評価

3.8
最初は地味に見えた女が次第に輝きを増して別人のようになるのが良い
カラン

カランの感想・評価

5.0
ニコラス・レイのデビュー作で、ボウイとキーチーという恋人たちのフィルムノワール。この2つの名はおそらくボニー&クライドのアナグラムである。

冒頭、クレジットとタイトルが示される前、重なり合うように身を伏せている若い男と女が闇の中に浮かび上がり、下から上から、視線を結びつけるようにゆっくり見つめ合い、唇を寄せると、はっと怯えたように身を離し、2人が上方を凝視すると、草原を乱暴に駆けるワゴンの空撮にかわる。

こんなプロローグが語られる。「この青年、この娘。これは今まで正しく語られてこなかった2人の、真実の話である。」



☆感情の原-風景・・・


この映画の後に無数に作られた愛の逃避行ものの原型となったのであろうと予想せざるを得ないくらい、力強くエモーションを捉えていた。デヴィッド・リンチの『ワイルドアットハート』や、テレンス・マリックの『地獄の逃避行』と『天国の日々』、それからたぶんペドロ・コスタの『血』。おそらくこういった映画の感情の鋳型になっているのだと思う。しかし、『夜の人々』は、それと同じ感覚にムルナウの『サンライズ』を観た時も捉われたのだが、リンチやマリックやコスタとは何かが違う。

ペドロ・コスタは「今の映画監督は昔の映画監督たちとは違う」と言っていたと思う。あるいは、テオ・アンゲロプロスは『ユリシーズの瞳』で、ムルナウやフリッツ・ラングのオリジナルフィルムを、現代の映画監督が失くしてしまった眼差しlost gaze、それがなければ物を見ることができないが、今はもう存在しない「ユリシーズの眼差し」と同一視していたように思える。もちろんこの2人はまったく違った観点で、昔と今、は同じでないという結論に至っているのだろう。というのも、コスタはブルジョワ的批評というような表現を使うところを見ると、イデオロギーには良いものと悪いものがある、というのが彼の前提なのだろうし、他方で、アンゲロプロスは少なくとも20世紀の最後の10年間が始まる時点で、イデオロギーとは残骸でしかなく、マルクスとは別の意味で「共産主義のゴースト」がヨーロッパに出没するのは、オカルトの類だと考えているだろうからだ。アンゲロプロスはベルイマンに似て、神であれ、階級闘争のイデオロギーであれ、《大いなる物語》の終焉後に人はどう生きるのか?を映画で問題にしているのである。

風呂敷を広げ過ぎているかもしれない。とにかく、このニコラス・レイの『夜の人々』は、リンチともマリックともコスタとも違う風合いである。同じ感覚を『サンライズ』を観た時に抱いた気がするが、この「同じ感覚」が何であるのかはうまく説明できない。若い男と女の感情の原風景、そんなものを感じるのだが、しかし、それは錯覚なのではなかったか。それとも、このオリジナルな存在に対する懐疑的な自意識が、昔と今の違いの根本なのだろうか。

よく分からない。

もう少し集中するのと、もっと勉強して、昔の映画の中に、原-風景を探して見るべきかもしれない。私は若い頃に哲学に打ち込んだのだが、その時の私の結論は原-風景とは幻想である、というものだった。しかし、どうも私とはまったく違った感覚のペドロ・コスタはそういうものを画面に映すことが可能なのだと考えているように思える。そんな彼と一緒に、ずっと若い頃に「ありえない」と決めつけてしまったエモーションを探ってみるのは、楽しい旅になるかもしれない。まあ、まずはアルトマンの『ボウイ&キーチ』を観てみるとしようか。




追、

今回、IVCが出しているBlu-rayで視聴した。リマスターと称して、ただBlu-rayにコンバートしただけの高額のディスクもあるのだが、今回の『夜の人々』はかなり良い出来栄えであると思う。靄を消し切らずに、ぎりぎりのところでクリアさを追求している。ノイズを除去しきってしまうと、リンチの『ブルーベルベット』やクローネンバーグのいくつかのように作品の雰囲気をぶち壊してしまうことになりかねないからだ。このディスクはタイトルが”Your red wagon”と表示される。この映画は、脚本が決まり、撮影が開始され、公開が中止になり、延期につぐ延期をされ、さまざまな苦難を辿るなか、何通りもの公開用のタイトルがつけられたらしい。皮肉な話だが、ニコラス・レイの苦労がよく分かる仕様のディスクである。ジャケットも黒を基調としてキャシー・オドネルの顔に彩色したわりとカッコいい仕上がり。
tao

taoの感想・評価

5.0
素晴らしいすぎた 蓮實先生の講義は講義というほどのものでもなかったけど進め方など独自のリズムと言葉選びがあり面白くて何度も聞いてる
夜の人々曰く「俺たちに朝はない」。ほぼ全編、真夜中のシーンで撮られたフィルムノワールの秀作。通俗的なギャング映画に恋愛ものの要素がプラスされ実に瑞々しい出来栄えとなった。

陰影の深いモノクロ画面はまさに「闇の映画」と称するに相応しい妖しさに満ちている。この手の犯罪カップルを描いたアメリカン・ニューシネマは数あれど出発点はまずここから。主演女優のキャシー・オドネルが美しく、ラストはほとんど彼女のアップで占めている。儚く散った恋。

正直、ニコラス・レイ監督は「理由なき反抗」を観た時は何とも思わなかったのだが、すでにこの頃から反抗する若者を描いている点が面白い。師に当たるエリア・カザンとはぜんぜん違うアプローチ。

保守的だった48年当時、こんな新鮮なギャング映画が作られていたとはまことに驚きである。ゴダール、トリュフォーらが感化されるのもよく分かる。アカデミー賞からは無視されたようだが…。
『拳銃魔』にはそれほど乗れなかったのですが、この作品はかなり好きでした。握手のシーンが妙に印象に残ります。

『ボウイ&キーチ』も見てみたいですが、DVDがプレミアついちゃって高い…。
コハク

コハクの感想・評価

4.4
鑑賞日:18/12/19
場所:映画館(名画座)
ニコラス・レイの初期傑作。「理由なき抵抗」の要素がすでに現れている。徒党からの自由、そこにおいて愛の表象の持つ意味(水平の関係ゆえ、相手を大切にするからこそ、男は女と二人で逃げ続けることはできない。このジレンマが胸を打つ)。大人への階段、再起と挫折。ラストシーンの構図。男からの置き手紙が、別離を念頭に書いたものなのに、天国に旅立つ身というコンテクストと重畳してきて涙を誘う。

シナリオ………………………… 5.0/5
テーマ・メッセージ性………… 4.5/5
ヴィジュアル・衣装・音楽…… 4.5/5
撮影・技法……………………… 4.0/5
演技……………………………… 4.0/5
好み……………………………… 4.5/5
■総合(平均)4.4/5
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