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トレジャーハンター・クミコのhorryのレビュー・感想・評価

2.0
『移動都市』を見た後に、本作を見るという無茶をしてしまいました。

本作は、映画『ファーゴ』に関わる、日本人女性についての米国の都市伝説にインスパイアされた作品とのこと(ややこしい)。でも『ファーゴ』を見てない人でも見られる構成になってます。

前半の日本の部分は、絶望的かつ「あるある」の日常。よく、この日本社会の息苦しさを捉えたなあ、と思います。
クミコが抱えてるしんどさは、彼女のパーソナリティだけに由来するものではないし、多くの女性が経験してることではないかな、と思う。

そんな日本を、普段着のまま荷物も持たずに離れ、アメリカへ。雪に覆われた田舎町を、妄想に取り憑かれた菊地凛子がさすらう姿は、ほんとに「絵」としては美しいです。
赤ずきんちゃんのような出で立ちと、雪景色との対比は鮮やかで、絵画のようです。

が、その美しさが息苦しかった。
29歳の女性がまるで少女のように描かれていて、エキセントリックな魅力というより、ただの子どものワガママにしか見えない。
動作や声や、なんやかんやが、「かわいい日本人女性」を体現している。
実際に菊地凛子さんはかわいいのだけど、演出と演技が幼いかわいさを強調してしまっているんです。

29歳で赤ずきんちゃんで、ウサギを抱いてるって、前半の世界(日本社会)を違う方向から肯定しちゃってるよな、と思ってしまって、そこがしんどい作品でした。
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