pepe

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たちのpepeのレビュー・感想・評価

3.6
人里離れたところに構えられた、あからさまに怪しい精神病院が抱えている謎は、いったいなんなのか。序盤から誰も彼も、なにもかもが信じられないという不安を抱かせながらじっくりと進んでいく、緊張感がずっと張りつめつづけた物語でした。病院の調度や衣装ひとつひとつも凝り、リアリティを高めているように思いました。

また、主要人物一人一人に物語を持たせ、それらが通り一遍の善悪だけで切り分けられないものを含むがために、複雑な余韻を後に残していきました。罰が必要な罪を成しはしたけれども、その根幹にあったものは、あまりにも極限の悲痛にあったものだったので、完全に憎み切れなかったのでした。

終盤の展開も、あらかじめ予感するのは難しくても、きっちり話としてまとまらせる要素となりえていたので、意外性だけを狙ったわけではないと感じられました。
ただ、それを彼女はどこまでわかっているのだろう、せめてしあわせだと信じ切れているといいのにな、と、祈るように感じもしました。
pepe

pepe