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黄金のアデーレ 名画の帰還のmoekoのレビュー・感想・評価

5.0
ヒトラーvsピカソを見た後にこの作品を鑑賞。我ながら良い順番で見たな。
ナチスに奪われたクリムトの名作 Woman in Gold を、絵のモデルになった女性アデーレの姪であるマリアがオーストリア政府に返還を求める、というあらすじの作品。マリアはクリムトとアデーレの親戚で、その絵は彼らと共に暮らす家に飾られていましたが、ナチスの襲撃を受けて奪われ、戦後はオーストリアの美術館に収蔵されていました。終戦から約50年経った頃、それを「私に返してほしい」とマリアは訴えます。その姿からは、過去に受けた深い傷やナチスへの怒り、家族への想い、今を生きる人々の行いへの問いなど、様々なものが伝わってきて、ひとことで言い表せるものではありません。とても胸を打たれて何度も泣きそうになりました。第二次世界大戦の最中、私たちはまだ生まれてもいなかったけど、その歴史は私たちの血の中に流れていて、その歴史は未だに続いていて、その中で生きているのだと痛感しました。
1枚の絵画の所有権を巡る法廷映画、なんて簡単な作品ではありません。でも、とてもオススメです。
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